「健康経営」の本気度
健康経営の銘柄や認定を目指して取り組む企業が増えていますね。毎年9~10月頃に行われる健康経営度調査に回答する企業は年々増加し、令和2年度は2,523法人が回答(日経平均株価を構成する225社の8割以上が回答)しているそうです。
「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。
健康経営は、日本再興戦略、未来投資戦略に位置づけられた「国民の健康寿命の延伸」に関する取り組みの一つです。(経産省ホームページより)
では、この健康経営を”やっている風に見せる”のではなく、”本気で実現しようとしている”企業はどれくらいあるのだろう。従業員が良好な健康状態で組織内でイキイキと活躍することが企業の発展に繋がることを本気で信じて、実現に向けて本気で取り組んでいる企業。もちろん、”やっている風に見せる”ことから始めて、それを決意表明として社内外に発信し、本気の取り組みに向けた流れを作っていくこともあると思いますので、現時点で”やっている風”の状態であることを否定はしません(そこに戦略があれば良いと思うからです)。でも、多くの企業で、銘柄や認定の取得をゴールとして満足してしまっているのではないかと思います。
本気度の違いは、健康経営の5つのフレームワークのうち「組織体制」に大きく表れるような気がしています。(5つのフレームワーク…①経営理念・方針②組織体制③制度・施策実行④評価・改善⑤法令順守・リスクマネジメント)健康経営の実現に向けて、目指す姿や目標を設定し、具体的に推進していくとなれば、それをリードするチームやプロジェクト・会議体が必要となります。まず、この時点で本気度に差が生じているように思います。人事や総務の担当者が1人~数名で手探り(見える範囲・わかる範囲・できる範囲)で、それでも精一杯やっている姿をよく見かけますが、この場合の多くは正式に健康経営の担当者としてアサインされたのではなく、担当者が空気を読んで「健康経営ってことは私ですよね…」と言う感じで通常業務に加えて健康経営に関する業務を行います。ですから、その担当者のモチベーションや知識に依存する形となりますね。一方、本気の企業は部署横断的に健康経営会議を立ち上げ、さらにテーマごとにチーム分けなどをして定期的な会議で計画の立案や企画・運営・評価などを行っています。人事総務部門の役員が健康経営会議のトップとなって強いリーダーシップを発揮し、メンバーの活発な議論を支持しているのです。メンバーも、正式にアサインされたチームメンバーとして業務時間内に「第二の本業」として健康経営の取り組みに時間を作ります。企業の生産性向上に繋がる健康経営なのですから、営業部員が営業活動を行うことと同じなのです。
そろそろ、本気の健康経営、やりませんか。